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アドラー心理学の【共同体感覚】のまとめ

投稿日:2017年6月15日 更新日:

共同体感覚は、アドラー心理学の中でも最重要概念の一つです。

共同体感覚とは、自分の与えられた状況(共同体や自分以外の人)に、どれくらい調和して自分を関係させることができるのかという能力です。

人は、誰もが『目的』に向かって行動します。

目的に向かって行動するとき、たった一人で成し遂げられることは多くありません。

誰かとかかわり、時には協力して目的に邁進していきます。

たった一人で取り組んでいると思いがちなときでさえ、親や兄弟、子供や知人との日常生活でのコミュニケーションはなくならないものです。

目的に向かって行動する時に大切なものが、『共同体感覚』です。

 

共同体感覚の必要性

どのような人間であっても、一人では生きられません。

パソコンやスマホ・水道や電気・洋服や道路など、一つとっても大勢の人間が関わっています。

アドラー心理学に反する、個人利益至上主義的な考え方であっても、「環境の変化や難しい仕事に対応したり備えるには、人と連携したほうが有利」です。

不要不急な周囲との軋轢は、進歩や安定にマイナス効果でしかありません。

共同体感覚は、自分の与えられた状況(共同体や自分以外の人)に、どれくらい調和して自分を関係させることができるのかという能力ですが、自分のいる環境に自分自身を適切に関係させられる指針・行動規範とも言えます。

共同体感覚と目的達成は連動する

共同体感覚は、社会的な動物としての正常なバランス感・行動規範とも言えますが、
シンプルに表現すると、目的を達成するために必要な要素という理解がわかりやすいでしょう。

それでは、自身の目的を達成するために、どのように共同体感覚が作用するでしょうか。

共同体感覚から得られる感情や意識

  • 役割を果たし感謝されることで感じる貢献しているという感覚
  • 所属しているという意識
  • まわりを信頼しまわりに信頼されている感覚
  • 互いの興味関心への理解
  • 自分の個性が受容されている感覚

自身への勇気づけとなる

これらの感情を意識・無意識を通じて得ることで、自分自身への『勇気づけ』となります。

勇気づけは、自分の目的を達成するための努力を続ける心の燃料です。

つまり、共同体にかかわり貢献することで、共同体から感謝を得て、目的達成のための心の燃料となる勇気づけを得ます

共同体を守り保全・補修する力となる

共同体感覚は、個人個人の共同体への貢献意識の源泉です。

地域に災害が起きたり、共同体にトラブルが起きたとき、共同体感覚は共同体を守る保障となるのです。

共同体感覚に優れた社会は、トラブルや災害から早く立ち直ります。共同体感覚は、個々を支え合い、結果として共同体全体を修繕する力となるのです。

【反面教師】共同体感覚が希薄だと・・・

アドラー心理学の中でも最重要概念である共同体感覚を理解するために、共同体感覚のない個人を考えてみましょう。

共同体感覚のない個人は、私的論理に偏重した個人と言えます。

トラブルを起こす人物

私的論理に偏重した個人は、個人の中だけで完結する利益を求める人です。

  • 全体を見ることもせず、部分(自分の利益部分)だけに注目する。
  • 主観で人物や環境を評価し判断するので、客観的な視点から見出される可能性を排除する。
  • 主観を一般的な考えと捉える。

個人で完結する理屈・利益ですから、社会や所属する組織・連帯する仲間や家族にとって無益です。

たとえグループで行動していても、自分のことしか考えない、自分が満足することしか考えていないために周囲への配慮はしません。

私的論理のみの人間は、グループの中でトラブルを起こす人物といえます。

私的論理について、詳しくは『私的論理』をご覧ください。

共同体とは

アドラー心理学の『共同体』とは、何を指すのでしょうか?

家族・友人・知人はもちろん、学校・職場・社会・国家・人類・宇宙まで、究極的にすべてを指します。

時間軸も過去・現在・未来のすべてを内包しています。

アドラーは、<社会>ではくくれない、個人に関するもの全てを『共同体』として扱っています。

しかし、宇宙や国家レベルの繋がりまで考えると、観念的すぎて、個人で想像しやすい共同体感覚とは言えません。

まずは、家族・友人・恋人・仲間・知人・ご近所さんくらいまでをあなたの大切な共同体として、感じてみることをお勧めします。

共同体感覚は、評価できる?

共同体感覚は、<感覚>であるために目に見て分かりにくいものです。

わかりやすくするために、<行動>に置き換えてみましょう。

評価する行動

共同体感覚は、自分の与えられた状況に、どれくらい調和して自分を関係させることができるのかという能力を表すともいえます。

  • 他人の興味に感心を持つ
  • 他人の感情に共感する
  • 他人の目的の理解に努め尊重する
  • 他人の個性や価値基準の理解に努め尊重する
  • 共同体の雰囲気づくりに貢献する
  • 共同体の目的を達成するために貢献する
  • 自分の個性や目的を共同体の目的に寄り添わせることができる

これらの行動を見ることで、自分や他人の共同体感覚を評価することができるでしょう。

また、下記にある、共同体感覚の5つの要素を確認して、できていること、できていないことを評価するのもオススメです。

共同体感覚の育て方

アドラーは、「共同体感覚は、生まれつき備わった潜在的な可能性であって、意識して育成されなければならない」と言っています。

また、共同体感覚とは、受動的・主観的な<共同体から受ける感覚や感情>よりも 主体的・能動的な<共同体へのかかわり方>です。

つまり、共同体感覚の育て方は、自己以外の他人との繋がり、その先にいる他人と他人とのつながりを理解して、自分をどのように関係させるかのトライ・アンド・エラーの繰り返しです。

共同体への貢献の仕方は、一つではありません。

立場や役職が同じでも、やはり千差万別なものです。

自己以外の他人との繋がり、その先にいる他人と他人とのつながりを理解して、自分をどのように関係させるかのトライ・アンド・エラーの繰り返すことで、共同体感覚を育むことができるのです。

共同体感覚の5つの要素

貢献

自分の存在や行動が、共同体の目的達成のための後押しになっている、貢献しているという感覚

目的を達成するためのブレーキや足手まといになっている感覚

自己受容

自分を飾ることなく、リラックスして参加できている感覚

自分を抑圧しつつげている感覚

共感

他人が興味を持っているものに関心と尊重を持てている

自分の興味や好奇心のみを優先している

所属

自分の居場所があり、一緒にいても良いと思えている

共同体の中で、浮いた存在・蚊帳の外と感じている

信頼

相手の行動や価値観を信頼して、頼り頼られることができる

自分だけが我慢したり、相手ばかりに負担を押し付けている感覚

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