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技法の理論

アドラー心理学の【課題の分離】

投稿日:2017年7月16日 更新日:

課題の分離とは

課題の分離は、自分や相手、子供を勇気づけするための技法です。

子供の問題行動への対応や業務の分配がうまく行っていない職場での対応などにとても有用な技法です。

『課題』を共有して、それぞれの目的と責任・やるべきことを明確にすることで、協力関係を構築し、それぞれの課題と共通の課題をクリアするために援助します

そして、課題をクリアした後のより良い生活の実現を目指します。

蛇足)間違った課題の分離のエピソード

課題の分離のエピソードとして、「会社の同僚からの誘いを断っても、心苦しく思わなくていいし、忘れて切り替えよう。なぜなら、誘ったのも断られたのも相手の責任だし、そこから何を考えるのかは相手次第だから。」というものがある。

私は、これはアドラー心理学の技法である課題の分離ではないと考えます。ただの、アドラー心理学の放棄だし、思考の放棄です。

このエピソードには、誘った相手の目的・相手と自分が所属する共同体の目的を考えることが放棄されているし、相手とお互いが所属する共同体への共同体感覚の欠如が見られます。

課題の分離という技法は、それぞれの目的と責任を明確にして、協同で目指すべき目的と責任を明確にする方法論で、目指す先はより良くなるという未来です。

正しい課題の分離をするなら、「会社の同僚からの誘いを断るなら、同僚の目的・相手と自分の共同体の目的・自分の目的を照らし合わせて、皆がより幸せになるために今回の誘いを断る。その意図を相手と共有する。」となるのではないでしょうか。

未来志向で、意図を共有しているからこそ心苦しいという感情が湧かないというのが、課題の分離というアドラー心理学の技法の実践であり効果です。

課題の分離の要素

【課題の分離】

それぞれの課題と目標を明確にする。

取り組み後のイメージを想像する(自然の結末を体験する)ことで責任を明確にする。

それぞれの目標と責任を明確にすることで、課題の分離は完了する。

【協同の課題】

協力するして取り組む課題と目標を明確にする。

共同して取り組んだ後のイメージを想像する(自然の結末を体験する)ことで、責任を明確にしてより協力的な姿勢を引き出す。

それぞれの目標と責任を明確にすることで、課題の分離・協同の課題の設定は完了する。

 

課題の分離のステップ

おおまかに言うと、『課題』を明らかにして、それぞれの目的と責任・やるべきことを明確にすることで、協力関係を構築し、必要があれば再調整を繰り返しながら、それぞれの課題と共通の課題をクリアに取り組みます

登場人物は、自分とAさん(親と子でも)

課題は、X(エックス)とします。
例では、自分とAさんが主催するグループの拡大

  1. 自分の中で課題と課題の目標を整理してみる。【課題の分離】
    (新規メンバー獲得を目標とした知り合いへの声掛けは、それぞれの課題。工夫をして、グループをより魅力的なものにすることを目標にした、協同の課題。)
  2. Bさんに課題と協同の課題を話す。
    (自分が考えたそれぞれの課題と目標・協同の課題と目標を話す。)
  3. Bさんと協同の課題の目標を一致する。【目標の一致⇒協同の課題】
    (協同の課題の目標を一致できなければ、話し合って協同の課題の内容と目標を一致させる。)
  4. Bさんとそれぞれの課題と目標を明確化する。【課題の分離】
    (それぞれの課題の目標を明確化できなければ、話し合ってそれぞれの課題の内容と目標を決める。)
  5. 課題への取り組みを開始する前に、それぞれの取り組み後のイメージを話し合う。【自然の結末を体験】
  6. 取り組み後に振り返る

課題の分離が必要とされる理由

社会的な動物である人間が直面する様々な問題は、多くの場合、自分と誰かの間に生じます

  • 運命共同体とも言える、親子間。
  • 本来利害が一致しているはずの同僚や上司との間。
  • 自分自身の葛藤として、自分自身の理想と現実の生活の間。
  • etc...

AさんとBさんが一緒に仕事をしているとします。

AさんとBさんは、仕事をより良く処理するという共通の目標がある同等の立場です。

仕事の内容は多岐にわたりますが、どちらかの責任でやるべきものもあるし、協力してこなさなければならない課題もあるのに・・・

Aさんがしなければならない業務をBさんが背負いすぎると・・・

  • AさんはBさんへの依存や劣等感を感じる
  • BさんはAさんへの一方的な貢献や相手を支配している感覚が強くなる
  • AさんとBさんの共通の目標の達成が困難になる

これでは、健康的で建設的な関係と言えません。

AさんとBさんは、負担と責任の分配が曖昧になることで、二人の間に上下関係や依存と支配関係ができ始めます

仕事をより良く処理するという共通の目標がある同等の立場なのに、権力闘争が始まるのです。

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