アドラー心理学の講座の受講前に、一通り目を通しましょう

アドラー心理学の講座を受講する前に

不可欠な理論

アドラー心理学の【全体論】

投稿日:2017年5月20日 更新日:

全体論とは

全体論とは、
『人間は全て異なった個体で、それぞれが統一体だから、個人が行う全ての言動・思考には、統一性がある
『人は分割できない統一体』という考え方です。

全体論では、感情は感情・肉体は肉体・ストレスはストレス・・・のようにバラバラに扱いません。

アドラー心理学は、
人間は、全て異なった個体である。』
個人は、自己矛盾のない統一体である。』
意識と無意識の関係性にも矛盾はない。』
感情・思考・行動には、全て統一性がある。』と考えています。

個人を理解するには、個別の言動や思考を分析するだけではなく、全体を理解しなければならないということです。

全体論とは真逆の理論「要素論・機械論」とは

フロイトが提唱した、要素の集合体としての全体を見るという考え方です。

例示)

  • 機械仕掛けのロボットのように、人間を要素の塊として見る。
  • 問題を切り分けたり、明示することができるため、とても人気がある。
  • ヒーロー戦隊やバトル漫画を見ると、好戦的な子供に育つ。
  • 人間は電気刺激により全体が動いているために、マイナスイオンを浴びることで調整され、リラックスできる。
  • ふくらはぎは、第二の心臓と呼ばれるくらい重要な部位だから、ふくらはぎを鍛えることで健康になる。
  • 授業中にじっとできない子は、親の躾や先生の態度に問題がある。
  • アニメオタクは、変わり者が多い

このように、現象を見る時は、ひとつひとつの課題と思われる要素に絞って、検討を深めていきます。

課題を明確にできることから、キャッチーでわかりやすいという特徴があります。

ただし、かなり偏った考え方に陥ることも多く、悪く見えた要素を修正することで劇的に良くなることを期待しても予想できない悪化をもたらすこともあります。

要素論・機械論より全体論は実践的

個人を形作っているものは何か?

仮に、精神や肉体・意識や無意識だけとしてみましょう。ところが、その中でも、触れるし、目に見える一番わかりやすそうな”肉体”であっても、そのシステムは複雑すぎて要素論や機械論的に理解することはできません。

個人に内包する要素が多すぎて、機械の部品のように理解し処理していくことはできないのです。

さらに、共同体や社会を分析しようとしても、肉体を要素論的に分析できないのと同様に複雑すぎて完璧に要素を書き出すことは不可能です。

個人は社会から完全に孤立した存在でないし、家族や地域・国や世界など、より大きいものも混然一体となって全体が存在しているとも考えられます。

心が身体を支配しているのか?
身体が心を支配しているのか?

アドラー心理学では、体と心は一体になっていて、相互に作用すると考えています。
アドラー心理学でも、精神と肉体的特性を便宜上分けて考えることも多いのですが、あくまでも全体論を前提とした物事の切り分けに過ぎません。

要素論や機械論的アプローチ

全体論的に考えれば、共同体は個人に大きな影響を及ぼすし、個人は共同体に大きな影響を及ぼします。

個人が共同体に対して行う貢献は、重要であり、共同体全体への貢献とともに共同体への所属(共同体から必要とされる)が強められます。

では、共同体に所属する個人により多くの貢献を果たさせようとして、要素論や機械論的にルールに問題があると断じて、「毎日のボランティア活動を義務付け」てみたらどうでしょうか?
人とゆるく繋がることを目的として所属していた人や知人からの勧誘ではいっていた人は、あっという間に辞めていくでしょう。

要素論や機械論的なアプローチは、近視眼的で局所的な物の見方になりやすいので注意が必要ですが、わかりやすく扱いやすく感じる方が多くいます。

いざ問題のある要素を修正したと思ったら、劇的すぎる変更となってしまうかもしれません。

全体論的アプローチ

全体論的なアプローチでは、目的に対してどのように全体が動いているのかを俯瞰してみます。

全体像をおおよそ見たところで、目的達成に邁進するための組織の中で有機的な作用をしていない箇所、または、目的達成に対して逆の効果を与えているような部分に注目します。

あくまで、共同体や個人全体を俯瞰した”全体”の中で、部分の役割や貢献度を知っていくのです。

要素論や機械論的に全体を構成する”何か”を局所的に抜き出し・加工し・変性させるわけではないから、全体論的なアプローチでは、全体のバランスを保って改善して行けるのです。

 

adler-336

adler-336

-不可欠な理論

Copyright© アドラー心理学の講座を受講する前に , 2024 All Rights Reserved.