【勇気】は、アドラー心理学の中でも最重要概念の一つです。
アドラー心理学の【勇気】
アドラー心理学が重要視している【勇気】は、一般的な勇猛であるという意味ではありません。
アドラー心理学が説く、人が幸福になるために大切な【勇気】とは、『困難を越えて目的に進む力や意識』『他者と協力し目的に進むことのできる能力』を指します。
勇気のある人と勇気のない人の比較
勇気のある人 | 勇気のない人 |
---|---|
自ら進んで行動する | 環境に依存する |
自ら進んで共同体に貢献する | 他者に依存する |
自分の欠点や弱さを客観的に理解している | 共同体に依存する |
自分の感情をコントロールできる | 自分が無力だと感じている |
他者の行動や考えを尊重できる | 他者と比較し強い劣等感を感じている |
他者の欠点や弱さを受け入れている | 他者に対して回避的な行動を繰り返している |
他者の長所や強みを尊重している | 他者に対して競争的な行動を繰り返している |
他者と前向きに協力できる | 感情をコントロールできない |
言動や結果に対して加点主義 | 言動や結果に対して減点主義 |
大局観がある | 一部分に拘りすぎる |
ユーモアを大切にする | 皮肉を繰り返す |
横の関係・対等の関係を築く | 縦の関係・主従の関係を重視する |
アドラー心理学の説く、【勇気】とは何かをイメージできたでしょうか?
アドラー心理学が説く、人が幸福になるために大切な【勇気】とは、『困難を越えて目的に進む力や意識』『他者と協力し目的に進むことのできる能力』を指します。
【勇気】は、人が目的に向かうために必須であり、幸福への伴侶のような存在です。
私達は、勇気を与えてくれる相手や自分を大切にし、勇気をくじく他人や自分自身を避けなければなりません。
勇気づけ
勇気づけ とは
【勇気づけ】とは、自分や相手を勇気づける。勇気を自分自身や他人に与えることです。
【勇気づけ】とは、困難や課題に挑戦し、乗り越え、時には他人と協力し、さらに目的に向かって、進む力を育むことです。
【勇気づけ】とは、『困難を越えて目的に進む力や意識』『他者と協力し目的に進むことのできる能力』を湧き出させることです。
自分や相手に勇気づけをする具体的な方法
相手の価値観・考えを承認し、より建設的な方向へと導くことが勇気づけです。
対等な関係・横の関係を大切にする
自分自身やまわりとの目標達成に向けて、前向きな関係であることを重視します。
自分自身や相手との付き合い方が、主従関係・縦の関係であると、勇気づけをしようとしてもが難しくなり、目標の達成に向けて協力する【対等な関係・横の関係】でなければならないというお話です。
上司と部下であっても理性的な自分と怠惰な自分であっても、共通の目標に向けて取り組む【対等な関係・横の関係】であることが勇気づけには大切です。
※主従関係・縦の関係は、勇気くじきの原因となりやすいので、勇気くじきの部分で解説します。
目標の達成に向けて協力する【対等な関係・横の関係】では、共通の課題や不安に協力して立ち向かうことができるし、立場の違い・役割の違い・個性の違いを尊重しつつ、共通の目標に向けて協力できる関係です。
また、勇気がくじかれている人を勇気を持つ人が対等に扱うことで、勇気がない人も自分への尊厳や自信を高めて自分自身の中に価値を見つけられることでしょう。
対等な関係・横の関係を構築するためには、どのような会話や問いかけが必要なのでしょうか?
対等な関係・横の関係に必須の言葉は、【私とあなたは共通の目標に向かう仲間です。】【あなたの能力は有用ですから、存在自体に価値があります。】でしょう。
これらは、相手や自分自身の存在価値・個性を尊重し、ともに目標に向かう共同体であることの宣言です。
プラス思考・未来志向であること
すべてを目標達成に必要な資源(リソース)として、活用していきます。
長所や能力などの強みはもちろんですが、失敗も未来への原動力として捉えます。
失敗や後悔は、消極的なものと考えられがちですが、失敗や後悔を再出発の原動力として活用できます。
『失敗をした ⇒ 周りのフォローが下手だからだ ⇒ まわりから反感を買う』
『同じ失敗をしないようにチェックシートを作る ⇒ 失敗率が下がる ⇒ 周りから安心して任せることができると思われる』
『競争相手に負けた ⇒ コーチの教え方が下手だからだ ⇒ コーチの信頼度が下がる』
『競争相手に負けて悔しい ⇒ 素晴らしい競争相手の練習方法を分析して活用しよう ⇒ 自分自身の練習の質が上がる』
常に目的と目標に向けた意識・考えへと変わることで、失敗は成功の母へと変わります。
失敗すらも目標達成のための資源として、活用しましょう。
大局観
仲間や共同体の中での、自分や相手の役割や貢献を俯瞰することで、自尊心や安心感が得られます。
日々の生活の中で、明日の心配や過去の失敗によって、気づかないうちに視野が狭くなり、自分ひとりで課題と不安に向き合っているような感覚に陥ります。
でも、人間はたったひとりで生きていることはなく、誰かとかかわりながら生活を送っています。
共同体や自分自身にした、良い影響(貢献したこと)を書き出してみましょう。そうすることで、共同体感覚が育まれ、自分自身も含めた共同体への貢献が、自分自身への感謝となり、こんなんや課題を乗り越えて目的に向かっていく原動力となります。また、共同体への貢献があなたの協力者を募り、目的達成のための仲間がいることに気づかせてくれることでしょう。
目標達成に向けた、進捗状況とスタートからゴールまでの全行程を俯瞰する。
日々の生活の中で、目標へ達成への情熱や課題克服への気力が減少することはよくあります。
大きな目標や大きな課題や不安であればあるほど、気づかぬうちに推進力が減っていきます。
そんな時は、まずは、スタートとゴール地点を見返しましょう。
どのような理由や環境でのスタートだったでしょうか?
ゴールした後の自分はどのような想いでしょうか?
長く険しく感じる肯定ほど、全体が見えにくくなり、注意力は散漫になりがちです。
遠い国へ旅立つように、あるきながら何度も何度も地図を見返しましょう。
勇気くじき とは
【勇気くじき】自分や相手の勇気をくじく。自分自身や他人の勇気を削ること。